風がもっと強く吹けばいいのに
帰りたくなかったから 帰らなかった
なんとなくあの子に手紙が書きたくなったので
ファミレスでひとり手紙を 途中から頭の中の会話が止まらない
混乱しておかしな手紙が出来上がってしまった 送るべきか悩む
落ち着こうと ゆーっくり煙草を吸ってみる それでももう遅いのだ
記憶と感情の波に襲われ 現実に叩き付けられる なにかが始まってしまった
午前1時少し前に店を出て ふらふら歩く
風がもっと強く吹いて 歩けないくらいになってくれたら
私はそれを理由に歩く事もやめて 帰らなくてもいいのになぁ と
風がもっと強く吹いて 全部もって行って 春ももう終わりにしてくれたらなぁ
帰り道誰もいない裏道で
音楽の音を上げて 白線の上を歩いて 前なんかみないで
目を瞑ったりしながら ずるずると 歩いた
風がもっと強く吹いて 私を押し倒したらいいと思った
誰かが私を捕まえて どこかに連れて行ってしまえばいいと思った
ずるんと転んで 頭でも打って 記憶を全部落としてしまいたかった
春の嵐の夜だ