雪がしんしんと降っていて
犬はソファーに丸まって薄目を開けている
線の細い男の子の頼りない歌を聞きながら
私はなんで恋人のところへ行かないのだろう
さっきまで見てた映画の最後のふたりが離れない
未来が想像できないな 幸せだろうか
でも、記憶をなくしたふたりは
出会ったばかりのそれと同じで
なにも怖くないんだろうな
perfume genius
eternal sunshine
2012/02/29
2012/02/27
大事に読み進めよう
これはゆっくり丁寧に時間をかけて
そう思いながら文字を追う目が止まらなくなる
文章自体が生き物のように呼吸する
私が読み進める時間を決めるのではなく
文章が早足になったり躓いたりするから
私は我がままな犬のリードを握ってあっちこっち進むような読み方になってしまう
エッセイはあまり得意ではない
なのに高山なおみの文章はいつだって私を引き込んでいく
なんでもない風景を一緒になって見ているような錯覚を覚え
読み終わると自分の出来事を思い出したような気持ちになって
なんでもないことのような出来事に涙が止まらなくなってしまっていたりする
自分でも驚くくらい毎回そうなるから不思議だ
ああ、いつか私も振り返った時にこの人の目のように昔を見たいなと思う。
押し入れの虫干し/高山なおみ
2012/02/07
・
こんなに苦しかったけ
私はどうやら纏まるに纏まらない気持ちを
優しく真面目に真摯に向き合って包み込んで飲み込んで消化することをやめて
纏まらないものをさらに蹴り散らかして片隅に追いやっていたのだ
自分で散らかした破片を必死になってかき集めてみたものの
すごく苦しくて なのにその時の完璧な気持ちには戻らなくて
途方に暮れそう
今のこの現状を幸せだと感じるように努めていたのかもしれない
ああなんだか楽しかったことも悲しかったことも思い出すと全部同じだ
何をやってたのか自分でも良くわからない
文章が出ては消えて 上手く掴むことが出来ない
いままで簡単に出来たことがあっさり出来なくなる
ああ、なんだか私は無理して元に戻らないようにしていたのかも
元に戻ってもいいのかもしれないな、それでまた泣いたり笑ったりすればいいかな
手に入れた物を手放すのはとても怖いな
手に入れたと思っていただけで気がついたら無くしてるものが山ほどあるのにな
気がついたら無くしてしまうと自ら捨てると何が違うんだろう
・
窓を開けたら夜が忍び込んで来た
こんな夜を私はずいぶんと避けていた
向き合うのが怖いのは
バランスを崩してしまうのが怖いから
深い眠りにつこうとするのは
知らないふりをしたいから
全部の理由を私は知っているのに
逃げるように日々を消化し
見える景色は美しさを失った
それでもいいように思った
それでもいいんだと思った
許したいと思った
私も、彼も、過去も、未来も
でも私のしていたことは許すことじゃなくて
きっと諦めることだったのかもしれない
こんなに辛いのに
こんなに悲しいのに
気がつけてよかったと思うのは何故なんだろう
何もかもいっそのことなくしてしまえばと思うのは何故なのだろう
愛おしい物ばかりなのに
・
見ないようにしてた ずっと
目が合えば食べられてしまう きっと
避けて離れて 知らないふりをして歩いていたら
見失ってしまった
いつもと変わらない景色の中に私だけ知っている光を
見失ってしまった
それはそれはとても楽で平和で何もなかった
何もなかった
何もなくなった今私は何かを見つめなおしたいと思っている
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